2011年05月03日

学習ノート5.3(3)

第3節 生活上にみられる障害の理解と対応

1 生活支援の視点

(1)深刻な一人暮らしの認知症の人の援助

   2010年 単身高齢者は470万人と推測
   一人暮らしの認知症高齢者は、全国で約42万人と計算できる

  課題・24時間の見守り、生活全体を支える支援
    ・医療や介護サービスの拒否への対応
    ・近隣とのあつれき
    ・金銭や物への執着が強く、世話人に「物盗られ妄想」を示す。
    ・時々会う家族の不理解
    ・遠距離介護の家族の負担や問題が発見されにくい環境
    ・社会生活上のルールが守れなくなる

  対策・地域でなじみの人間関係をつくる
    ・助け合いの地域づくり
    ・小規模多機能型居宅介護


(2)「認認介護」の問題

   80歳前後の認知症出現率は約20%
   夫婦のどちらかが認知症である確率は40%
   夫婦ともに認知症である確率は、8%
    →11組の夫婦のうち1組が「認認介護」という計算


(3)こだわりへの対応
 
  こだわりの原因をその人の過去の体験からさぐり、
 その不安を取り除くように接していく。
 「記憶の逆行性喪失」を理解して、本人がこだわる理由や
 執着の度合いを理解できるようになる。



2 医療に関する支援の視点

(1)上手な服薬のための工夫

  実際は飲んだのに、飲まないという場合は、市販のサプリメントを利用

  飲まない人への対応は、飲みやすい剤型にする。必要な薬にしぼる。
  声かけ、勧め方を工夫する。食べ物に混ぜる。味を変える。
  注射や貼付薬に替える。

  ある程度、管理ができる人には、
   一包化して飲みやすくする。服薬ボックスを使う。カレンダーに貼る。
   テーブルに服薬を促す紙を置いたり、電話をして時間を知らせたり、
   ヘルパーに協力してもらったりする。

  
(2)スムーズな受診の工夫

  「精神神経科」に強い拒絶があるので「物忘れ外来」「老年科」
  「心療内科」「精神内科」などで一般的な診断を受ける。

   介護者が「私の健康診断に付き合って」と連れ出し、ついでを
   装う。

   保健所に誘う。

   信頼できるかかりつけ医から促してもらい、紹介状も出してもらう。

   頭痛やだるさ、腹痛などの身体症状を理由に医師に頭の検査を
   勧めてもらう。

     
(3)認知症の人の終末期ケアについて
  
   認知症の終末期は、苦痛の訴えがほとんど見られない。

   終末期はでは、寝たきりとなり、食べ物も摂れなくなり
   衰弱が進行する。呼吸器感染症にかかりやすくなり、
   咳や痰もからみやすく、褥そうもできやすくなる。

   在宅認知症の人の死因
    肺炎 36%  突然死・事故死 27%
    老衰 25%  心不全・腎不全 12%


   認知症の人のケアはドラマである

   ターミナルケア  


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2011年05月03日

学習ノート5.3(2)

第2章 認知症の理解と対応

第1節 中核症状の理解と対応

1 認知症をよく理解するための9大法則・1原則

【第1法則】記憶障害に関する法則
 
  記銘力低下、全体記憶の障害、記憶の逆行性喪失(ワープ)


【第2法則】症状の出現強度に関する法則

  より身近な人に対して認知症の症状が強く出る


【第3法則】自己有利の法則

  自分にとって不利なことは認めない


【第4法則】まだら症状の法則

  正常な部分と認知症の部分の混在


【第5法則】感情残像の法則

  感情が残像のように残る → [対応] ほめる、感謝する、同情、共感、謝る


【第6法則】こだわりの法則

  一つのことにこだわる。 
  → [対応] 説得や否定はしない。安心できるように工夫する
     ①こだわりの原因を見つけて対応する
     ②そのままにしておく
     ③第三者に登場してもらう
     ④場面転換をする
     ⑤地域の協力・理解を得る
     ⑥一手だけ先手を打つ(徘徊ネーム、GPSなど)
     ⑦認知症の人の過去を知る
     ⑧長時間は続かないと割り切る
   

【第7法則】作用・反作用の法則

  強く対応すると、強い反応が返ってくる


【第8法則】認知症症状の了解可能性に関する法則

  認知症の症状が理解・説明できる


【第9法則】衰弱の進行に関する法則

  認知症の人の老化速度は、なっていない人の2~3倍速い


【介護に関する原則】
  
  認知症の人の形成する世界を理解し、大切にする。
  その世界と現実とのギャップを感じさせないようにする。



第2節 BPSDの理解と対応

 BPSDへの対応の第一歩は、本人の気持ちやその人が形成している
 世界を理解することにある。

(1)夜間不眠
  見当識障害のため、時間や場所がわからなくなる。
  目が覚めた時に恐怖感に襲われている。

  昼間よく眠る理由として、生活の雑音や見えることへの
  安心感があるため。


(2)夕暮れ症候群
  「記憶の逆行性喪失」の特徴により、夕方の行動が
  思い出される。(暗くなる前に帰らなきゃ、晩御飯作らなきゃ)

   説得せず「少しゆっくりしていって」とお菓子を出したり、
  「途中まで送ろう」などと対応を工夫する。


(3)物盗られ妄想・被害妄想
  「症状の出現強度に関する法則」により、犯人は身近な介護者に
  なることが多い。さらに「自己有利の法則」で自分の物忘れを
  認めない。

   一緒に探す、話題を変える、第三者に入ってもらうなどの
  対応がある。


(4)排便トラブル
  「自己有利の法則」がある。しかったり、指摘したりせず、受け流す。

(5)過食
  「全体記憶の障害の特徴」で食べたこと自体を忘れる。
  1日の食事を3回と考えず、数回に分けて食べるようにする。

(6)性的異常行動
  「記憶の逆行性喪失」で若いころに戻っている。愛情に飢えている。
   拒否すると混乱がひどくなるため、手を握ったり、根本的な
   問題を解決するようにする。

(7)火の不始末
   初期の場合は、火の始末を意識できるよう標語を貼る。
   「先手を打って」火災が起きにくい環境に変える。
   すぐに消火できるように水などを準備しておく。

(8)不潔行動
   弄便(ろうべん)は、認知症の人が便を弄んでいるのではなく
   手に付いたものが気持ち悪くなって取ろうとしている行為。
   便をつけてもいいように壁に紙を貼ったり、失禁してもいいよう
   環境を変える。「一手だけ先手を打つ」
   介護サービスの利用も、本人の「ソト」に対する緊張感があり、
   入浴がうまくいくこともある。
     


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2011年05月03日

学習ノート5.3(1)

第2節 認知症の主な疾患

1 アルツハイマー型認知症(AD)

 病理学的特徴:脳の神経細胞が死亡し、脱落が生じる。

 原因は不明。何らかの原因で、脳細胞の遺伝子的変化が起き、
 アミロイドβたんぱく質やタウタンパク質が蓄積し、脳細胞が死滅し、
 認知症を引き起こす。

 脳の委縮(画像上の「隙間」)がある。主に海馬

 認知機能が徐々に全般的に障害され、生活自立度も徐々に低下、
 後期には寝たきりになることもある。



2 脳血管性認知症(VD)

 脳出血・脳梗塞など脳の血管疾患が背景にある。

 が、脳血管疾患の人すべてが認知症になるわけではない。

 脳血管性認知症は、脳血管疾患の再発を繰り返すたびに
 病状が階段状に低下する。

 特徴として、病気の発症前後に頭痛など身体的不調を訴える。

 脳の障害部位により、症状も多様。

 できる能力とできない能力に差があるため「怠け」と誤解される
 こともある。



3 レビー小体型認知症(DLB)

 アルツハイマー型認知症同様に、脳細胞が病的に死滅するため
 生じる認知症。

 アルツハイマー型との違いは、脳に生じる物質が「レビー小体」

 パーキンソン病患を伴いながら認知症になる人の症状が
 アルツハイマー型とは異なるため、1980年代に提唱され、
 1990年代から注目されるようになった。

 症状の特徴は、認知機能障害などの他、幻覚(主に幻視)や
 パーキンソン症状が出現する。



4 前頭側頭型認知症(FTD)

 前頭葉が障害されることによって生じる認知症
 脳の委縮が生じる場合、頭部外傷で前頭葉が障害された場合
 ともに起きる。

 原因となる病気は複数あり、代表的なのは「ピック病」

 同じ言葉や手を打ち鳴らすなど単純な行為を何度も繰り返したり、
 同じ店に何回も出かけるなどの常同行動
 万引きや人の物をとって食べるなど反社会的な行動 抑制がなくなった行動、味覚の好みが変わったり、食事量が
 増えるなどの食行動の異常など行動面の症状がある。

 言語の意味が理解できなくなる語義失語や言葉をうまく話せなく
 なっていく進行性非流暢性失語など言語上の症状もある。
 


5 その他の認知症

 ウイルス性の認知症
  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)病の認知症

 頭部外傷による認知症

 物質誘発性持続性認知症
  アルコール性認知症



6 若年性認知症

 「若年性認知症」は病名ではなく、65歳未満の年齢で発症した認知症

 若年性認知症の有病率は、10万人あたり47.6人 全国で3.78万人
 発症年齢は、平均51.3±9.8歳 (2009年3月現在)

 社会において、家庭において、現役世代が認知症になることで生じる
 問題は、高齢者の認知症とは異なったものである。

 高齢者に対する社会制度ほど、制度も整っていない。

 外傷が原因の認知症は、特定疾病ではなく、介護保険のサービスが
 受けられない!



7 認知症に類似する病気

 せん妄(意識障害)

  一時的に脳の機能が低下して、注意力、集中力、理解力、判断力が低下
  
  原因は、身体疾患、水分不足による脱水、発熱など身体の不調が脳に影響する。



 うつ病(気分障害)

  高齢者のうつ症状(意欲や集中力の低下)が、行動自体の低下を招き
  何もできない、分からないと訴えることが間違われやすい。


 それぞれ適切な治療で状態の改善が見られ、そこが認知症と異なる部分。
 

 
   


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