2011年04月22日

幻視



良子さん(仮名)は、去年からの利用者さん。

80歳を過ぎてもなお美しく、若いころはどれほど
綺麗だったのだろうと想像する。

目は少し不自由のようだけれど、耳はよく聞こえて
おしゃべりも好きだ。入浴中はお風呂に2人だけに
なるので、良子さんがしたい話に合わせて会話を
していると、言葉づかいがきれいだとよく
褒めてくれる。(私は関東の人間なので、土地の言葉が
話せないだけなのだけど・・・)


今年になって(と思うが)、良子さんは、家に夜になると
入ってくる人がいて、その人は黙ってこちらを見ているとか、
昼間はじっとしているのだけど、夜になると物を盗んで
いくのだと話をするようになった。

「それは大変ですね~」と適当に話を合わせているのだけど、
昨日は、施設にもその人がいると言い出した。


ベッドで昼寝をしていたのだけど、がばっと起きて、
私を見て何かを訴えていた。

そばに行ってみると「あの人」がいるという。

もちろん否定はせずに、話を合わせる。

「何かしていますか?」

「今はまだ昼だから見ているだけ。夜になると
ごそごそと動きだすの」

「そう、今は安心ですね。じゃ、今のうちに
トイレに行っておきましょうか」


そう言って、トイレを済ませ、水分補給をし、
良子さんはまた眠りについた。

そして、しばらくして目覚めると、今度は私を
親戚の誰かと勘違いをして、親しみのある言葉で
話をされていた。

「こんなところで花子ちゃんに会うとはね~

 そう言えば、この前、太郎さんにあったのよ」


「太郎さんはお元気でしたか?」

「元気、元気。こんなことアンタにしか話せないけど・・・」

と「花子」さんになった私に、ご自分の悩みなどを
話してくれた。


これまでも、話のつじつまの合わないことはあったが、
私を誰かと間違えるのは初めてだった。


トイレにも行った。水分補給もした。

だからそれは原因ではないと思う。

認知症が進行しているせいだろうか。これからも
時々そんなことが起きるのだろうか。


良子さんは、その日微熱があって、入浴が中止になった。

もしかしたら熱のせい?

熱は何が原因?



家にお帰りになる時間には平熱に戻っていたのだけど、
良子さんの様子を見ながら、幻視の理由を探ってみる。

薬の量が変わったり、管理がきちんとされていないことは
ないだろうか。

改めて最近の良子さんの記録を振り返ることも必要だ。

まだはっきりした原因はつかめないけれど、これから
注意して観察していこうと思う。





  


Posted by まるこ♪  at 17:37Comments(0)症状