2010年01月28日
ワープ

デイサービスに認知症を患っている
義和さん(仮名)という方がおられます。
たぶん自分のいる場所も世話をする
スタッフのことも全く分かっていないと
思うのですが、デイサービスに来られると
本をじーっと見ていたり(文章を読んでは
いないように思います)施設内を見まわ
したりして1日過ごしています。
季節の変わり目じゃないかと思いますが、
時々、今この瞬間から離れ、どこか違う
時代にいらっしゃることがあります。
義和「こんなことしちゃいられない」
(突然、そう言って立ち上がる)
私 「何かあったんですか?」
義和「わしは、家に帰らないといけないんじゃ」
私 「はー。お家はどちら?」
義和「大阪なんじゃが、わしは家を出てきて
しまったから、親か怒っているかもしれない。
困ったなぁ」
私 「それは大変。私、電話で聞いてみましょうか」
義和「電話? あんたが聞いてくれるのか?」
私 「はい」
義和「それはありがたい」
私 「じゃ、ちょっとここに座って待ってて
くださいね」
(席をはずして、また戻ってくる)
私 「今、電話しましたが、お母さん怒って
いなかったですよ」
義和「怒っていなかったか」
私 「義和さん、私があとで駅まで送りますから
もう少しここで待っててもらえますか」
義和「あんたが送ってくれる?
いやー、ありがと、ありがと」
その後、義和さんは帰る時間まで落ち着いて
過ごしていました。
嘘をついて感謝されるという罪悪感はありますが、
時々、いっしょに時間旅行を楽しんでいます。
義和さんが言っていることは過去に本当にあった
ことなのかどうなのかは知る由もありませんが、
とにかくご本人の不安感がそういう「ストーリー」
となって現われるのでしょう。
「もうご両親は亡くなられましたよ」とか
「何言ってるんですか!」「まだ帰る時間じゃ
ないですよ」などと否定したり、叱責したりすると
不安感や混乱がさらに増すので、とりあえず相手に
合わせることがケアのコツだと思います。
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